月刊青島--青島日本人会生活文化会発行
目次

編集後記
 

 

 

  晩秋の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

  国慶節の週、私は前半青島に滞在、後半一時帰国いたしました。ちょうど、娘の通う高校の学園祭が行われる時にあたり、それを見学することができました。学園祭には誰でも入ることができ、各クラスやクラブが催しものをしています。私は、娘のクラスが企画した「カルビの海賊」という教室をお化け屋敷にしたような催しに行ってみました。コイン投げゲームの後、設定された暗い細道を身をかがめて通ると、高校生が待っていて、そこで「イントロ当てクイズ」、その後的当て、そり滑降体験が続きます。教室全体の舞台設定には相当工夫した様子が見て取れました。他の会場では書道クラブや美術クラブが日頃の技や成果を披露していました。自分が高校時代の時は文化祭・・合唱くらいしか皆で一緒にやった記憶になく、高校時代を彩るこのような行事があるのは素晴らしいことだと思いました。

  高校生(その年頃)といえば、最近国連気候変動サミットでグレタ・トゥンベリさんが非常に激しい怒りの表情で各国首脳を非難するという一幕がありました。その言動には諸々の意見があるようですが、私はその内容よりも彼女の「怒り」の表現に印象づけられました。大人の世界では怒りは心にあっても、それを相手に直接見せたりぶつけたりすることは、公共社会においてほとんど無いと思います。特に「優しさ」が強調される今、その傾向は益々強くなっています。また、どう考えても悪いことと思われるのに立場や相手の反応を考え、ストレートな表現ができないのが普通です。

  それ由、10代の少女の今度の行動が強烈な印象を残したのでしょう。気候変動に限らず諸問題について怒りを表現する場が更にあるとも思いました。

  日本も中国もスマホが普及し、我々は常に様々な物事(ニュース)に取り囲まれています。その中で、一つの問題に対して執着したり集中したりすることが難しくなっており、若年層も淡泊に流れる傾向にあります。今回のグレタさんの行動について賛否はありますが、少なくとも「執拗に考える、集中する」ということについては、問題意識を投げかけているのではないかと考えます。

  日本滞在中は、あっという間に時間が過ぎていきました。中国から帰ると、やはり情報量の多さに圧倒され、それを追っているとすぐに時間が経ってしまいます。その中で、物事を詰めて考えることは以前よりも難しくなっているのでしょう。たまにはスマホ、テレビ、喧噪を離れることも重要だ・・そう感じました。

 
   
    
 編集長
 

 
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