月刊青島--青島日本人会生活文化会発行
目次

青島の空の下で(62)  
   

  新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で春節も自宅謹慎というこれまでにない過ごし方を経験することになった。春節といえば「民族大移動」といわれたようにそれぞれが故郷を訪ね、家族や親せきの平安と発展を口にし子どもはお年玉の「紅幣」を集めに回り、大人は宴会で酒と特別な料理に浸り、爆竹や夜には花火が深夜まで空を焦がしている。それが数年前までのイメージであった

  PM2.5騒動から環境問題として爆竹、花火を控える向きは徐々に浸透し、今年は市内で爆竹を鳴らすと罰金が科せられるところとなり、1月1日の新年も静かであった。この時期、街角に臨時の花火売店がたつが今年は姿を消している。故郷へ帰るためのチケット取りのため会社を休むということも、スマホでスマートにでき、超満員の夜行列車も新幹線の指定座席で移動することになった。それに全国縦横の高速道路網は、この期間無料でマイカーを走らせる。

  国内で動くよりも海外に出るのが今の流行だ。相手との政治的関係で動くから旅行者の数の変動によって友好関係度合がはっきりする。台湾は民進党政権になって格段に訪問者が減った。逆に日本は2012年の尖閣抗議デモを底にしてPM2.5などの環境問題で対中関係が冷え切り、日中首脳は立ち話で何分会ったというところにあった。それが今年の春には国賓として招き日中友好を深くしていくという。当然中国からの旅行者の日本への進出は凄い数字で伸びてきた。イナゴの大群のような買い物競争はなりを潜めたが、それでも観光地は潤った。何せ人数の桁が違う。

  しかし、そのまま右肩上がりで行かないのがこの世である。もともと政冷経熱という通奏低音がある。政のパートが和音を響き始めるとどういうわけか別のパートから違う音が発生し、邪魔をし、壊そうとする。SARSがあった。毒餃子で揺れた。鳥インフルエンザ、豚インフルエンザでタミフルの確保に走った。PM2,5の映像は住めるところではないというイメージを強くした。

  日本人学校の生徒数にもはっきり反映する。順調に増え始めると事件が起こる。何かあるのではないかと思っていたが当たらなくてよい予想が命中した。「またか!!」もっていきようのない苦々しさ。

  SARSの時、ジャスコは店員にマスクをつけさせた。その時分客でマスクをつけている人はなく、病人がつけるものと認識していて一時客が減った。

  今は外出時、マスク無しでは歩けない。予防としての効能を認めたのだろう。色とりどり、形様々なマスクが目だけ見せて歩いている。

余計な心配かもしれぬが、街中にあふれた監視カメラはマスク越しに効果発揮するのだろうか。赤外線を通すカメラに変えていくにはまた相当の予算が必要だ。ともかく早く終息し中国発のウイルスは止めてほしい。  (I)

(2月掲載予定原稿をそのまま記載)

 


 
<< トップへ戻る