月刊青島--青島日本人会生活文化会発行
目次

災い転じて福となす

 
   

  青島日本人会会員の皆様、こんにちは。

  春節明けから徐々に厳しくなった中国の出入国規制は現在ピークを迎えています。今でもほとんどの外国人が中国に入国することができず、徹底した水際作戦が継続しています。

  そんな背景から、この月刊青島も編集体制が整わず、投稿記事を集めるのに四苦八苦しており、今回は小職がこうして誌面を埋めるために寄稿させていただいている次第です。

  さて、弊社も中国政府の規制を受け、3月末からお客様を乗せた飛行機を青島に運航することができなくなりました。最近は成田に向けての貨物機週3便と旅客機週4便のみを運航していますが、旅客便にはお客様にご搭乗いただくことができず、床下に貨物だけを載せて、ひっそりと業務を継続しております。本来であれば3月29日から、新たに青島=羽田便も就航しているはずだったのですが、5月16日まで開設は延期となりました。その16日以降の運航も、今後の様子を見ながらご案内させていただくことになりそうです。

  一方で青島の街中は随分とかつての姿を取り戻しつつあります。清明節には中山公園に行きましたが、例年に比べると人手は少ないものの、それでも数多くのマスク姿の市民が満開間近の桜を楽しんでらっしゃいました。また、週末になると石老人海水浴場には多くの人出が見られ、海辺のカフェも盛況です。

  本来であれば、今ごろ青島で業務についているはずなのに、渡航制限で日本に留まっている方々も数多くいらっしゃいます。今となってはむしろ中国の方が安全に感じられてしまいますが、日本にいらっしゃる皆様におかれましてはくれぐれもご注意ください。

  また、青島で暮らすわれわれは、この弛緩しつつある復旧ムードに流されず、青島日本人会に所属する企業会員・個人会員の中に感染者を出さないよう、日々の健康衛生管理をしっかり行っていきましょう。

  最後に、ウイルスに翻弄され続けているここ数カ月ではありますが、小職自身にとっては得難い経験もありました。予期せぬ一人暮らしが長く続き、市中のレストランも開いていなかったため、毎晩のように自炊することとなったのです。単身赴任の方なら当たり前かもしれませんが、中途半端に凝り性な小職はかなりの気合で取り組むこととなりました。家では翌日のメニューを考え、会社では終業時間になるとメモ用紙に買い物リストを書き込みます。イオンの閉店時間も前倒しになっているので、残業なんてできません。手短かに買い物を終えると、そそくさと自宅に帰って料理を開始。食べ終わると翌日の弁当の準備です。恐ろしや!家にいる間はひたすら食事と料理のことばかりで時間が過ぎていきます。洗い物が片付くと、テレビをゆっくり見る暇もなく眠たくなって「おやすみなさい」。

  仕事をしながら家事もやるのは大変です。とにかく時間がないので、効率を高めて、生産性を上げなければなりません。頭の切り替えが大切で、家でも会社でも集中力が必要です。小職の目の前にも仕事と家事を両立している中国人スタッフがたくさんいますが、あらためてすごいことだと感心しました。限られた時間を最大限に活かすのは簡単なことではありません。既に自炊生活には一段落がつき、今では厨房に入る機会も減りましたが、この騒動をとおして大切なことに気が付かせてもらったような気がしています。

  災い転じて福となす。これぞまさしく「働き方改革」。これからも自らの生産性向上のために邁進することを誓います。そして今日も「どうやって生産性を高めよっかな~」などとあれこれ考えながら、朝から貴重な時間をつぶしてしまう元の木阿弥な小職でした。

  皆様とまた笑顔で集まることのできる日を愉しみにしております。

 

2020年4月14日
全日本空輸株式会社
廣田 至夫

 
   

 
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