やっと6月19日にプロ野球が開幕し夏の生活になってきた。当面は無観客ということだが こちらは球場に足を運ぶわけでないし、テレビが頼り。何試合か見ていると慣れて別段気にならなくなってきた。Jリーグも相撲も始まるがとにかく事故なしに進めてほしい。スポーツのLive中継は本当にありがたい。
中継のない間、2人の好対照な女性の評伝を読んだ。一人は朝日新聞の社主であった村山美知子さん。もう一人は東京都知事として二期目の選挙に出ている小池百合子氏の「女帝」。芦屋というブランドの地に6000坪の敷地に美術館や茶室、樹木に覆われた大邸宅に起居する深窓の令嬢と、政治好きの詐欺師とも言われた父親を他山の石として、常に上を目指してパフォーマンスを発揮する女性。
「社主」の著者である朝日新聞記者であった樋田氏は、会社から村山家のお世話役に送り込まれ、内情を探ることが任務とされていたのが、仕えるうちにすっかり社主の虜になり、内紛は会社側の対応に問題があったように変節されていく。一方で石井氏の「女帝」は最初から最後まで頭の先から足の爪までこれでもかというくらい虚像を剥がすことに執拗である。正直なところ読み進むうちに吐き気がして「もういいよ」と何度か止めたくらいである。
村山美知子氏は俗人を超えたところにある。もちろん99歳と6ヶ月の人生を全うする中には喜怒哀楽、悲喜交交あったには違いないが少なくとも(経済的)生活に悩むことはなかった。どこまで金銭感覚があったのかと思うくらいである。社主として新聞経営には口を出さず、文化特に大阪国際フェスティバルの責任者として活躍された。私など下々から見るとまことに羨ましい人生に映る。
N H Kの「ダーウインが来た」という番組は、南米で蛍の大乱舞とその一生を追いかけていた。夏の大雨が連日続く中で必死に草の葉にしがみつき飛ばされないように耐え、それが過ぎると交尾のシーズンに入る。少し茎の高いところに雌がいて、オスが下から登っていき あと少しというところに天敵のカマキリが待ち構えている。次々と雄はやられる。他方で孕んだメスは下におり ぬかるんだ土に排卵するが、今度は天敵のカエルが待ち構え次々に一飲みされる。まことに残酷な連鎖であるが、翌年の初夏になるとまた大乱舞が見られる。
感染症の発生もどこか「おごり」に対して天の摂理が動いたようにも見える。
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