例年より暖かく過ごしていたが急に冷えてきて年末に雪になった。こちらの雪はサラサラで雪合戦するにも投げた瞬間に四方に散り、よほど至近距離でないと相手に当たらない。発泡スチールを砕いた粒のようなものだ。室内は24―25度あってちょっと運動すると汗ばむ程である。1m2あたり30数元(450円)で5ヶ月間の暖気にはいつもながら感謝している。青島は避暑地というが、最近の夏は暑く湿度も高くジメジメしている日が多い。むしろ冬場の方がお勧めではないかと思う。もっとも外に出るとマイナスで海からの寒風は相当覚悟しなくてはいけない。マスクのお陰で顔の半分は助かっているが。
私の住む高層マンションは築25年ほどだろうか。外壁面に発泡スティロールで作った1.5m2四方で厚さ10cmの大きさの板を貼り付ける作業があった。全部で9棟あり、相当な作業になる。これを貼ることによって熱効率が良くなるのだろう。作業員は40フィートコンテナを持ち込みそこで生活しながら朝早くから日暮れまでロープで吊るされた架台に上下して壁に貼り、日を置いて塗装する。このお陰か隙間風があっても室内はより暖かく感じる。この費用は政府から出るようで、工事の知らせはあったが費用徴収の話は一切ない。無償であるなら住民からの文句は出ないから作業は抵抗なく進む。
市では陽性患者が出た時に瞬時に1000万人を相手にP C R検査を行い素早く隔離する体制を取り仕切った。この指令がどのように出され、検査器具がどこから運び込まれたのかなどドキュメント番組を見たいところだが、この費用も政府からの拠出になっていて個人負担ではない。外人も恩恵に預かった。こうした費用は想定外だから予備費やこれまでの蓄財が原資であろう。それにしても1人50元としても5億元(78億円)になる。
100歳を超えた双子の姉妹「金さん銀さん」がマスコミを賑わしC Dまで出て大金が入ってきたとき、「そのお金何に使いますか?」の問いに「老後の蓄えにします」と2人がはにかむような調子で語っていたのは底抜けに明るく楽しい映像であった。ユーモアではあるがしかし「老後の蓄えに」というのは気になるフレーズで今に記憶に残っている。
順風で進んでいる時は問題ないが、今日のような逆風が激しい波と共に向かってきてしかも先が見えない状況にある時、「蓄え」をどのように使って乗り切っていくのか。今年はワクチン島を見つけるまで続く漂流生活で開けた。(I) |