月刊青島--青島日本人会生活文化会発行
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青島の空の下で(71)  
   

  「2月は逃げる」あっという間である。春節に加えて、昨年から天皇誕生日が加わった。海外の日本人学校では所在する国の休日に合わせるのが基本になるが、天皇誕生日のみは祝日と設定されている。昭和天皇はゴールデンウイークの先頭の形であり(こちらでは労働節)、平成天皇は冬休みの中に溶け込んでいて格別誕生日という意識はなかった。3月に入るとすぐに卒業式を控え、先生方の離任もまじかとなり落ち着かない毎日である。

  さて、県外に出るのも委縮した春節の日々。公共バスは無料となり、観光地に向かう老若男女で一杯であった。桟橋に渡り鳥がたくさん来ているという情報で見に行ったが、パンをちぎって投げるのを見事に空中で受けるのもいるが、大抵海に落ちたのを面倒くさそうに拾っているのは海猫で。まさに猫が餌をつつくようでそこから名前が付いたのかしらんと思わせる。皆肥って糖尿系の鳥になっていた。それにしても久々の蜜な人ごみを体験した。

  黄島にイオンモールが出来てまだ見ていないので昼前に車で出かける。市内は空いていてスムーズであったがトンネルを出て黄島のメインストリートに入ると4車線にびっしりと埋まって渋滞していた。昔を知っているだけに様変わりした風景にただ驚くばかりである。イオンモールは幹線沿いで駐車場は広く、1台のスペースも隣のドアを気にして開ける中国の店と比較してさすがイオンさんという感じがした。店はプラットフォームが長くどこに何があるのか1回だけではよくわからない。片道1時間と少し。地下鉄の駅も真ん前にあり、半日旅行の場所としてありそうだ。

  春名幹男さんの「ロッキード疑獄」を読む。昨年10月に上梓されたが、経歴を見ると1946年生まれとあるから74歳だ。共同通信時代からの資料の収集があってのことだろうが最近の公文書から発見していくエネルギーに、はやり言葉でいえば「元気」をもらった。それにしても「角栄を葬り巨悪を逃」がし、
その巨悪へ流れたカネについては小説にでもして推理してほしいところだ。

  日本を舞台にした映画「唐人街探偵3」を観に行く。春節興行でも上位を行く作品で映画館もマスク必着で客は多かった。日本人俳優が沢山出ており、日中英の3語が飛び交ってにぎやかな映画であった。最近の映像技術はコンピュータによるもので、実際に新宿や渋谷での街頭シーンはどのように撮影したのか知りたいところだ。ストーリーはドタバタではあるが最後に中国東北からの引き上げ者の社会問題的な締めを用意するがこれはチョット無理なような展開であった。

  いずれにしても天気に恵まれ、最後の日、親類筋で食事会をホテルでとろうと予約を入れるとどこも一杯でやっと見つけるほど盛況であった。あちこちした1週間であったが狭い枠から出られないというのはやはり欲求不満が残る。(I)

 


 
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