月刊青島--青島日本人会生活文化会発行
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青島の空の下で(77)  
   

 日本の学校は4月からだが、中国は9月が新学期になる。およそ2ヶ月強の長い夏休みが明けて親も子もまずは学校に行けてホッとする。これ以上子供の面倒を見るのもかなわないし、子供もこまごまと親の干渉を受けたくない。この間、親は仕事がある。手っ取り早いのは両親の家に預けることになる。例年であれば有給休暇を使って旅行もできたが、新型コロナがどこで発生するかわからない。学校からも省外に出る場合は速やかに連絡せよとのお達しがある。そういう気分の中、進んで行く気にもならない。安心して預ける学校は貴重である。

 8月も下旬になって中央からI Tによる学習塾を閉鎖し、学校の宿題も1時間で終えるように、小学2年生まではテストをなくすなどといわゆる「詰め込み教育」から「ゆとり教育」への大転換指令が出た。関係者には流れていたのだろうが庶民には誠に唐突で、塾は廃業宣言し、すでに払った受講料は戻す戻さないということになっている。ちなみにネットで好評の講師は年収100万元(1700万円)もあったそうだ。コロナの外出禁止令もそうだが、突発的に宣言し待ったなしに実行するのが中国である。

 身近に中国の小学2年生の子がいる。夏休みの算数の宿題で、4が4つあって加減乗除を使い答えが2になる式を3つ考えよという。フムフムと安易に臨んだところがとんでもない間違いであった。ぜひ、読者にもやってみていただきたい。

 ①は(4÷4)+(4÷4)=2  ②は(4×4)÷(4+4)=2

と四苦八苦しながらできたが、もう一つはどうしてもわからない。「2年生の算数もできないの?」と馬鹿にされながら匙を投げた。

 翌日、理数系の人に聞いたところ 4÷(4+4)×4=2かな?と(結構時間かかって)答えていただいた。このほか、鶴亀算などあって、方程式であれば答えは出るが式をかけと言われるとできない問題があった。英語も恥ずかしながら辞書を引かねばならない単語や言い回しがいくつか出てくる。

 親は、子の首に縄をつけ、寸暇を惜しんで教育施設に連れていかねば落ちこぼれてしまうという強迫観念に囚われるのもうなずける。一方、政府は少子高齢化に対し3人目も可としたが効果はない。主因に教育のウエートが高すぎるということで、反転の指示を出す。「親の能力を考えて高望みしないように」ということだろうか?夕刻、広場に声をからした子供の遊ぶ姿がみられるか?
そういえば60代の指導者は紅衛兵時代でまともな授業は受けてないはず(I)

 

 

 


 
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