知人の娘さんは今年38歳になる。上海の銀行に勤めていて高級取りらしい。
今は小さいアパート暮らしだが、家を買う算段をしている。上海では平米あたり 8万元で100平米だと日本円で1.4億円にもなる。最近、職場の女性にも人気あるなんとかいう種類のネコを飼い始めたそうだ。家に帰ると足にまとわりつき、可愛くてたまらないらしい。それで国慶節の休みに青島の実家に帰るに、ネコの預け先きがずいぶん高く、扱いが粗末かもわからないので飛行機で一緒に連れて帰ることにした。それを聞いた母親(知人)は「子どもを連れて帰ると言うなら分かるが、ネコなど連れ帰っても面倒なんか見ないヨッ!」と憤懣やるかたなし。怒ることしきりであった。
知人は5人兄妹の2女だが、それぞれ年頃(過ぎた?)の子どもがある。長女の娘は結婚して子供が1人ある。フルタイムで働いているから、学校へ迎えに行き、夕食を作っておくのは長女夫妻の仕事となっている。スタンダードの家庭。長男のところは35歳の独身女性。日本に留学した後帰国しフリーター。3女のところは男の子でアメリカに2年留学し、帰って地元のマスコミ関係の仕事。これも35歳近くになっているが結婚の気配はないらしい。4女の所はまだ学生。5世帯あって、なんと結婚は1世帯のみで子供は1人ということだ。彼らは親から離れ、自分の家も車もあり自由気ままな生活をしている。親も「好きにしてくれ」とお手上げの状況らしい。
「子供を二人」「三人でもO K」とか、教育費にウエートが掛かりすぎるからそれを低減すべく「ゆとり」教育にするとか、「塾」やネットによる通信教育も廃止とか矢継ぎバヤの指令が上から飛んでいる。が、その前にそもそも結婚して子供を産むという前提がなくなってきているようだ。理屈を言えば「何のために生むの?」ということになる。かつては「家」のため特に長子相続というのはあった。それも1人っ子ゆえに兄妹の誰が継いで誰が親の面倒を見るというキマリは最初からない。今更「神」から与えられた愛の結晶か。中国にあっては「国のため」というのがまだ通用するのだろうか。
周りで「できちゃった婚」というのに何組か出会ったことがある。随分幅広のウエディングドレスであった。親は世間体を気にしながらも、ここまで進んでは仕方なしで式は進んだ。今の世となると道徳は変わった。おそらく「でかした!!」と叫ぶのではあるまいか。 (I)
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